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039 明日香さんのお願い

2025-06-22 17:00:25

 食堂に揃った入居者たちは、いつもと違う空気に困惑していた。

 復帰した直希に声をかけようと思っていたのだが、隅のテーブルで言い争ってるつぐみと明日香が気になって、それどころではなかったのだ。

 直希は膝の上にみぞれとしずくを座らせ、二人に朝食を食べさせている。

 * * *

「理由を教えてって言ってるのよ。全く、どうして分からないのかしら」

「だからつぐみん、今は言えないって言ってるじゃない。いいじゃん別に。これまでだって、何度も二人を見てもらってるんだし」

「ここは保育所じゃないんです。みんな忙しいし、直希だって昨日まで、熱出して寝込んでたんだから」

「えええええっ? ダーリン、本当なの?」

「ははっ……お恥ずかしい限りで」

「なんであたしを呼んでくれなかったのよー。付きっきりで看病してあげたのにー」

「その心配は無用です。ここには優秀なスタッフが揃ってますし、何より私がいるんですから」

「ふーん。つぐみんってば、そんなところでポイント稼いでたんだー」

「なっ……私は看護師、と言うか医者なんです。公私混同なんてする訳ないでしょ」

「公私混同?」

「あ、いえ……今のは違うわ。直希も何笑ってるのよ。私はただ、医療に携わる者として、直希についてただけなんだから」

「パパー、ママとつぐみん、また喧嘩してるー」

「してるー」

「ははっ、そうだね。ほらほらしずくちゃん、ほっぺにケチャップついてるよ」

「ありがとーパパー」

「パパー、みぞれもー」

「はいはい」

「ちょっと直希、あなたも何か言ってやりなさいよ。なんで他人事みたいに涼しい顔してるのよ」

「別にいいじゃないか。二人の面倒ぐらい、何なら俺が見るから」

「そういうことを言ってるんじゃないの。そりゃね、知らない間柄でもないし、困った時はお互い様なんだから、協力するのはいいんだけ

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